日常生活で手軽にメタボ撃退運動

【メタボリックシンドローム】

内臓の周囲に脂肪がたまる「内臓脂肪型肥満」のこと。生活習慣病の発症や悪化に大きく関わっており、ウエスト周囲径が、男性85センチ以上、女性90センチ以上あり、かつ糖尿病(空腹時血糖値が110mg/dL以上)、高血圧(最大血圧が130mmHg以上、または最小血圧が85mmHg以上)、高脂血症(中性脂肪が150mg/dL以上、またはHDLコレステロール値40mg/dL未満)のうち2つ以上の罹患者または予備群である状態を指している。放置していると、それぞれの数値がそれほど深刻ではなくても、動脈硬化が進行し、心筋梗塞(こうそく)や脳卒中など、死に至る病気を引き起こす危険性が高い。


多くの中高年男性を悩ませ、昨年の流行語大賞トップ10にも選ばれたメタボリックシンドローム(内臓脂肪症候群)。予防や症状の改善に、体を動かすことが最適とは分かっていても、なかなか実践できないのが現実だ。そこでおすすめなのが、通勤電車の中や仕事中にできる短時間の“メタボ撃退運動”。日常生活のちょっとした動きを工夫し、「運動は苦手」「時間がない」という人でも続けられる。今年こそ、メタボリックシンドロームと決別しよう!

40歳以上の中高年男性の約3割が悩むメタボリックシンドローム。

運動が必要-と言われると、すぐジムに通うなど本格的な運動を思い浮かべるが、高輪メディカルクリニックで運動療法を担当する健康運動指導士の黒田恵美子さんは、「通勤電車の中、仕事中などに、短時間の運動を取り入れることが、メタボリックシンドロームを予防・改善するためのポイント」と言い切る。

というのは、中高年男性の多くが、飲みすぎや食べ過ぎで、日常の動きによる「身体活動量」が少ない状態に陥っているためだ。

「だから長時間運動しなくても、30分に一度、軽い運動をしたり、ストレッチをするだけで、筋肉が暖まった状態になり、エネルギーは消費され続ける」。つまり、効率良く運動さえすれば血流が改善され、エネルギー消費量が上がるのだ。

例えば、家を出る前に、息をゆっくりはきながら、体をひねる、背伸びをするといったストレッチをそれぞれ10秒ほど行う。「それだけで、筋肉がウオーミングアップされた状態になる。駅まで5分歩くなら、1分は早足、次の2分は普通の速度で、最後の2分は早足で。これだけで筋肉がきちんと使われる」。

電車の中では、つり革を持ち、かかとを5ミリほど上げて前に重心を置く、つま先を5ミリほど上げて後に重心を置くという2種類の動作を一駅ごとに交互に繰り返すのも有効だ。

黒田さんが提唱する簡単メタボ撃退運動は別表の通り。いずれも仕事の合間や短い時間で簡単にできるのがミソ。

「筋肉を使うことで、脳の血流もよくなり、仕事の能率も上がる。ストレッチは疲労の回復にもつながる。効率よく運動できる体になれば、休みの日にウオーキングやスポーツを楽しもうという気持ちにもなれます」と黒田さん。「身体活動量」が増えると、中性脂肪が減り、善玉コレステロールが増加。血圧降下にも役立つ。

「メタボリックシンドロームは便利な生活の副産物。10年前より便利になった分だけ、日常の動きの中に運動を取り入れること」(黒田さん)

“メタボ撃退”は1日にしてならず。無理せず続けることが大切だ。


★歩く姿勢の改善で“メタボ”撃退!

メタボリックシンドロームに悩む中高年に多い症状が腰痛。黒田さんはその理由を、「少しずつたまったおなかの脂肪で、『長期的妊娠』のような状態になっているから。腰椎(ようつい)に大きな負担がかかっているため」と説明する。

運動しようとしても腰が痛んで続けられないため、「腰痛を緩和するために、歩くときの姿勢を改善することが大切」(同)だ。

姿勢の基本は、「おへその下にぐっと力を入れること」。ビール腹になると、体の前側が重くなり、バランスをとるために腰が反った状態になる。腹に力を入れることでこれが矯正され、腰痛が軽減。上半身はリラックスさせるのが基本で、無理に胸を張ったり、肩を引いたりしないことが大切だ。この姿勢を、「通勤途中や社内での移動など、日常生活の中で歩くときにも心がける。続けることで、腰痛が改善されるだけでなく、おなか周りもすっきりします」。




メタボリックシンドロームになりたくない!
日常生活で手軽にメタボ撃退運動